生きていることは、やらねばならぬこと、やりたいことが残っているということだ 5

 回復は順調に進み、それでも退院するまでに二週間かかった。  その時、思ったのは今回も俺の判断、選択が間違ってはいなかったことだった。  これまでの人生で救急車を追尾したことはあったが、救急車に乗ったことも、もちろんパトカーに乗ったこともない俺が、何故かあの時迷うことなく救急車を要請したのか、何か知らない力が、何か知らない思いが俺の中に届いたのだと思っている。  思えば、過去に二回、同じよ…

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生きていることは、やらねばならぬこと、やりたいことが残っているということだ 4

 翌朝、胃ろうによって胃の中の物は排出されて、良くなってはいるのだが、下腹部の痛みは消えることはなかった。  早朝、担当医である木全(きまた)医師が俺の状態が、腸閉塞であり、放っておけば敗血症等によって、臓器の損傷をも考えられる状態であると告知してきた。  即日、腹部のレントゲンを撮りながら、小腸までチューブを挿入し、閉塞している部分をバルーンで押し広げる治療をすることとなった。  胃ろう…

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生きていることは、やらねばならぬこと、やりたいことが残っているということだ 3

 救急車の中では、救急搬送の依頼を受けてもらおうと、救急隊員が電話をかけていた。しかし、どんな理由があるのかは知らないが、最初の三か所の病院は受け入れを断っていたようだった。  四か所目の病院が受け入れてくれて、救急車は移動した。  10分くらい走行したのだろうか、さいたま市立病院だった。そこは場所こそ知っていたが、俺の記憶には古びた病院という印象しかなかった病院だが、着いたそこはすっかり様…

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生きていることは、やらねばならぬこと、やりたいことが残っているということだ 2

 帰り道、益々痛み出す俺の下腹部、痛みの周期は次第に短い間隔を刻みだした。  その時、俺は今まで一度もかけたことのない「119」にかけたのだった。今思い返しても不思議でならない。いくら痛みが止まらなくても、俺は正常に運転していたし、掛かりつけの病院の前に駐車し、夜間の受け入れはできないのかといったものを探ったりしていた。  だがそれも叶わないと悟った俺の指先は、とっさに携帯電話の画面上のダイ…

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生きていることは、やらねばならぬこと、やりたいことが残っているということだ 1

 未だけだるさは残っているが、取りあえず退院し、俺は復活した。今回も自分の判断に間違いはなかったことに安堵するとともに、これまでも幾度として思い浮かんだ考えに適宜な判断をして、結果、良い方向となったことに、不思議な感覚を覚えている。  思いのままに生きて来たので、いつ死んでも思い残すことはないと思っていたが、今回もまだ生きていることを思えば、まだ、まだ、俺にはやらなければならないこと、やりたい…

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ブログの引っ越しを終えて

 ビッグローブで小説家久保一郎の独り言と題して書き続けたブログの引っ越しを何とか終えて、まだ馴染まないところもありますが、月変わりの11月から、そろそろ書き始めようかと思っている。  先ずは未完の「仮題 不法就労者」を終わらせなきゃかな。  ずっと何もしたくなかったから、そろそろ過充電にもなっているし、始めるかと自らの心に呟いている。

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えびす屋 移転のため閉店する

ここ10年ばかりの間、面談場所として利用していた西口のえびす屋が、4月12日をもって一時閉店するとのこと、区画整理のための移転らしい。 8月になって、東口に新規開店するらしいが、それまでの間はほかの方法を考えなくちゃならない。 それにしても本当にお世話になった。サントスの閉店からえびす屋へ、そして次は新規開店したえびす屋となる。

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明けましておめでとうございます 2022

 明けましておめでとうございます。晴天の中、新年を迎えることができました。新年早々、様々な知人、友人にメールで挨拶を済ませて、今、ブログを閲覧してくださっている、いちばん大事な皆様に新年のご挨拶をします。  今年は念願のコミック化が成し遂げられる見通しとなりましたし、創作活動にも少し力を注ごうかと思っています。  本年もよろしくお願いします。 2022年 元旦

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今年も終わろうとしている

 コロナ、コロナで明け暮れた2021年も終わろうとしている。29日にあるイベント?を最後に後はゆっくりと過ごすつもりだ。  すっかりと音を潜めた外国人関係の仕事も徐々に入り始めたし、裏切られたマスコミ取材も、今になって思えば大衆受けする陳腐な内容を求めてのものだったのがわかっただけでも良しとすることにした。これからはよくよく吟味して応じようと思っている。  知人とも話したのだが、年々時間の過…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。12 テレビ放送を終えて思ったこと

 本日、早朝にテレビ朝日で、テレメンタリー2021「なんで見えない~名古屋入管で起きたこと~」と題して放送された。  俺は都合3時間あまりのインタビューを受けたが、大幅に編集カットされたので、何の理解も得られなかったと思う。  だが、唯一、収穫があり、わかったことがある。  ボランティアの男性が、入管の報告書上にボランティアの教示によって、拒食が始まったとしているところを、都合の良い部分を…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。 11

 入管が違反者を収容する目的は、収容令書に基づくものは逃亡を防止し、証拠を保全し、違反調査・違反審査を円滑に進めることにある。  退去強制令書による収容の目的は、送還までの間、その身体を健常に保ち、可能な限り自由を認めて、強制送還を実行するためにある。  いずれの収容についても、それが懲罰を目的とするものではないのは明らかである。  だが、仮釈放のように収容中の情状が良いからと言って、仮放…

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10月31日、日曜日、4時30分から5時の放送

 標記の日時に、テレメンタリー2021,「なんで見えない~名古屋入管で起きたこと~」と題するドキュメンタリー番組がテレビ朝日で放送されます。  俺がインタビューを受けた内容が入っているので、興味があって早起きできる人は是非、見てやってください。  2時間あまりの収録でしたが、30分番組となっていることから、かなり編集されているとは思いますが、このブログに書いていることをベースに話していますの…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。 10

 出頭申告以外で、摘発された者、警察から直送規定に基づき身柄受領した者、裁判後に検察から身柄受領した者、これらの者たちは収容されたまま取り調べが進み、在留を希望していない場合で不法残留容疑であれば、遅くとも一週間とかからずに退去強制令書が発付される。  退去強制令書発付後に送還を忌避、または在留を希望した場合であっても、そのままでは収容が継続される。  収容令書による収容期間が最大60日であ…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。 9

 全件収容主義をとる入管法は違反事件の容疑者を収容した上で、取り調べ等を進めて行くことになっている。  その中で一時的に身柄を解放するものが仮放免である。仮放免には収令仮放免と退令仮放免の二種類がある。  違反事件は、入国警備官の違反調査に始まり、48時間以内に入国審査官に引き渡され違反審査が行われることとなる。  帰国するため乃至は在留を希望して出頭申告した場合は、通常、収容しないままに…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。 8

 最初にはっきりと言っておくが、基本的に入管法違反者が在留特別許可を受けるには、身分関係の在留資格以外には、その可能性はないものだと言えるということを理解しておくことが重要だ。  彼女の場合、留学生として登校しなくなり、不法残留したものであるが、学費も前納していたと言うから、学校側の判断が不登校の理由が正当なものではないとして、入管側に通知されて、不法残留となったものと考えられる。  この場…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。 7

 そもそも彼女は留学生の身分を失い、不法残留していたものであるが、その後、日本での在留に関して考えていたようには見えないものであるところ、同棲中の彼氏のDVから逃れるために警察に保護を求めるなど、将来の計画について言えば、何らの考えも持ってはいなかったと考えられる。  イェーリングの言う通り、法の前に眠る者は、法の利益を享受することは叶わないのであり、如何に高邁な目的を持とうとも、それに向かっ…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。 6

 拒食が誰の指示、助言によって、如何なる理由、目的で実行されたのか、それは言った、言わないの問題に収斂されるものだから、これまでの話で終わりとする。  次に入管の医療体制について考えることにしよう。  かつては、嘱託医や看護師は収容所には配置されていたものの、地方局の収容場には配置されていなかった。  緊急の場合は、救急搬送していたものであるが、現在は嘱託医がいて、看護師も配置されているよ…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。 5

 拒食(いわゆるハンガーストライキ)は、入管の警備処遇に対する抗議から行われることが多いのであるが、彼女の場合、警備処遇に対する抗議の意味合いは見当たらないのである。  退去強制令書が発付されたのち、難民認定申請を行ったものであるが、日本における在留経歴からして難民として認定される理由が見当たらないところ、当然、その申請は不許可(不認定)となる。  それに対する抗議であるというのであれば、理…

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彼女は何故?死亡するに至ったのか。 4

 収容された彼女は強制送還されることを覚悟し、帰国することになるのを受け入れていた。  それがいつの間にか変転する。拒食を始めてしまったのだ。拒食、すなわち官給食を摂取しなくなったのだ。  最初のうちは、差し入れの菓子類などを摂取していたというから、時間をかけて説諭すれば、また、官給食を摂取するだろうと入管は考えていたと思われる。  彼女が拒食をするようになったきっかけには、諸説ある。 …

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